「こんにちは、ミドリさん」 放課後のバイトに向かう道中、ふと声をかけられて振り向く。 「わ、珍しいね。今日は1人?」 「うん。ナツは放ってきた」 眉尻を下げて微笑むミカちゃん。 ナツくんを一筋に思う、可愛い女の子。 「ミドリさん、最近何かいいことあった?」 「え?」 隣に並んで歩き出した彼女から、突拍子もない言葉。 「ここ数日、ナツの機嫌がいいからさ。それってミドリさんが笑ってるからなのかなって」 「………」 笑顔でそう言ってくるミカちゃんに、思わず言葉を返せなくなってしまった。