―――あれから数日後。
葉山教授とは、もう赤の他人。
もともと学科が違うから授業もないし、時々キャンパス内ですれ違っても、お互い知らないふり。
…これでよかったんだ。
未練なんてこれっぽっちもない。
そもそも、どうして彼を愛してしまったのかさえ分からなくなった。
そう言えば、教授に“愛してる”って、言ってもらったことないな。
結局、最後まで、わたしの身勝手な片思いだったんだね。
…どうか、彼の家庭が円満でありますように。
わたしはただ、そう願うだけ。
ほんの一瞬の儚き時間。
もう、夢から覚めた。
これからは現実を見つめていかなくちゃ。


