―――部屋を出て、ひとり廊下を駆けるわたし。 思い出の詰まったこの薄暗い校舎を後にし、広いキャンパスを全力疾走。 日の落ちたこの時間は、もう人はいない。 「……うぅっ…、ふ…っ」 頬を伝う涙を、拭う必要なんてない。 愛した分だけ、溢れる涙を流してしまおう。 ―――大きな門をくぐったところで立ち止まり、振り返ってあの校舎に向かって、深く頭を下げた。 …さようなら、葉山教授。 素敵な時間を、ありがとうございました。