「…幸せになってくれ。それが俺の願いだ」 そう言って教授はまた、ふっと笑う。 もう十分幸せだったって、今言ったのに。 胸から熱いものがこみ上げてくる。 それをぐっと奥歯で噛み締めた。 わたしは泣いたりしない。 最後に涙なんて、見せたくないの。 「…さようなら」 笑って、腕を解いた。