マーブル*ラブレター



あと数ミリの距離で、軽快な音楽に遮られてしまった。



微かな振動で訴える、机の上の黒い物体。



ヒカルの携帯のディスプレイに、見たくない文字が浮かんだ。




「…ったく、ええとこやっちゅーのに…」



そう言い、ヒカルはさらりとわたしの元から離れる。



わたしのことなんてよそに、椅子に座って電話に出てしまった。




「…もしもし。なんや月島」



彼の口から紡がれた言葉に、異常に耳が反応してしまう。



ヒカルが電話の奥のあの子の名前を呼ぶ度に、胸の奥がざわざわと喚く。