「あいつ、ちゃんと帰れたんかな?どっかで転んで泣いてるんちゃうか」
なんて言いながら、玄関をあがってリビングへ歩いて行くヒカル。
その後ろ姿に不安を感じるの、何度目だろうか。
彼の何気ない一言に、嫉妬が胸を渦巻く。
「おぉ、すげぇ!今日も豪華なご飯やな。さすがユカリや」
ダイニングに並ぶ料理を見て、ヒカルはわたしに向かってにかっと笑った。
どうかこの笑顔がわたしだけのものでありますように、と、心の中で願う。
「ユカリと結婚してほんま幸せや」
「なに、突然。何かあるの?」
「ん?」
普段以上にご機嫌な目の前の男に、違和感を感じてきいてみる。
もったいぶる表情をしながら鞄を探り、何かを取り出してきた。


