「ナツくんの涙に付き合ってくれてありがとう」


「……?」



突然の、意味不明な言葉。





「わたし、ナツくんには幸せになって欲しいの。…彼、わたしにとっても大事な人だから。
……だから、これからもナツくんのことをよろしくね」



なんて言って、優しい笑顔。





彼女の言葉がどういう意味なのか、僕には分からない。



だけど、自然と頷いていた。







―――月が赤々と光る夜。



この先ナツが涙することはないんじゃないかって、根拠はないけど、ふとそう思った―――。