「わっ、どうしたの!?」
ふと聞き慣れない声が聞こえたかと思えば。
「あ…」
さっきまでカウンターにいた彼女が、僕達の後ろに立っていた。
「もう10時回ってるよ?何してるの………って、ナツくん、泣いてるの…!?」
なんて言って目を丸くするミドリさん。
ナツの肩を掴んで、心配そうに顔を覗き込む。
「別に泣いてない。…それより、ミドリさんのこと待ってたんだ。お疲れ」
そう言って顔を赤く染めて答えるナツ。
最後に一筋頬を伝って、やっと涙は途切れた。
「もう、高校生はこんな時間まで遊んでちゃだめでしょ」
「はーい」
ナツの涙にそれ以上触れることなく、大人の笑顔のミドリさん。
それにつられたのか、いつの間にかナツも笑っていた。


