「ミドリさん、辛いんだって。…すごく」 ガラス越しの彼女を見つめながらそう呟くナツ。 今にも泣きそうなのは言うまでもない。 その表情に、僕の胸までズキズキと痛む。 「…なんでそんな無謀な恋してんだろうな」 …本当に、そう思う。 どうして自ら茨の道を進もうとするのか。 誰も幸せになれない恋なんて、する意味があるのか。 「…俺だったら、そんな辛い思いなんかさせねぇのに…っ」 消え入りな声でそう言い、ナツは一筋、涙を流した。