「その本、僕も持ってるよ。面白いよね」



なんて言ってまた笑う目の前の人。



「う、うん…」



そんな彼に、わたしはまともに答えられた試しがない。




本当はちゃんと話したいんだけど…



もっと仲良くなりたいんだけど…



地味なわたしなんて、きっと相手にしてもらえないよね…




長身で見た目がいい彼は、頭までいい。



そんな彼を周りが放っておくわけないし、わたしなんかが釣り合うはずがない。



だからこれは、遠くから見つめるだけの儚い片思い。




…それで十分。