「はいよ。ユカリには帰ってもらったで」
「す…すみません」
しばらくして、先輩が温かいコーヒーを差し出してくれた。
「もっかい一から鍛え直しやな。俺がちゃんと一人前にしてやるわ」
なんて言って笑いかけてくれる、愛しい人。
憧れてやまない、わたしの師匠。
…決して手を出してはいけない。
なのに、いつだって手を伸ばせば届いてしまう距離にいる。
「…はい、お願いします」
…こんなギリギリの関係も、悪くはないかな。
―――ある日の午後。
この人と肩を並べることはずっとないことを、この身をもって知った――


