「何で泣くんや?うまいこと撮れやんのか…?」
「……っ」
覗き込んでくる先輩の顔は、涙で見えない。
…大好きな、大好きな先輩の姿が、レンズの向こうよりも見えない。
……これが現実なんだ。
わたしとはできないキスを、ユカリさんとならあんなに艶かしくしてしまった。
当たり前のことかもしれないけど、どうしても苦しい。
「落ち着くまで向こうでちょっと休憩してき」
なんて言ってわたしの頭を撫でてくる、何も知らない先輩。
ほんのりと温かさが頭から伝わる。
…それにすらドキドキしているんだから、情けない。
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