―――半信半疑で30分程待っていると、そっと扉が開いた。
「お、来たな。こっちや」
先輩が手招きすると、長い黒髪の綺麗な女性が出てきた。
「俺の嫁のユカリや」
「よろしくお願いします」
「あ、月島ヒナです。よろしくお願いします!」
まるで本物のモデルかのような美しさに、思わず釘付けになってしまう。
気をしっかり持って、いいものを撮らなくちゃ。
「悪いな、ユカリ。どうしても撮らせてやりたいんや」
「うん、わたしは大丈夫。ヒカルが後輩思いなのも分かっているわ」
「ありがとうな」
…どうしてか、胸の奥がチクリと痛い。
なんだか、夫婦の世界からわたし1人つまみ出された気分。
「じゃあ早速始めるで。月島、好きに撮れや」
「はい。お願いします」
…よし、集中しよう。
首から下げていたカメラを抱え、レンズの向こうの2人に目を凝らした。


