先輩はプロのカメラマンで、わたしはまだ、先輩の弟子である見習い。
人も物も景色もすごくキレイに撮っちゃう先輩を、心の底から尊敬している。
「月島。今日は何撮りたい?」
「え?」
今まで一度も聞かなかった言葉。
「お前の腕も上がってきたことやしな、今日は好きなもん撮ってみ」
…本当に!?
何年も頑張ってきてよかった!
「何でもえぇで。今日は付きおうたるわ」
「……じゃあ…」
わたしがずっと撮りたかったもの。
これが撮りたくてこの道を選んだって言ったって、過言ではない。
「…キスシーンが撮りたいです」


