「初恋だった……から、忘れられないのよねー今でも。あんな別れ方しちゃったから、もう逆に心に残っちゃって」 「言ってなかったわね」――お母さんがそう言うと、あたしは咄嗟に「いい!」とそれを遮った。 ――だって、知ったから。 さっき、その加藤義正って人に……逢ってしまっていたから。 「そう、わかってるのね」 「……ごめん、お母さん」 なぜかあたしは、謝っていた。