――……
――……


PM7:03。
学校から電車で30分程の距離にある自宅。その玄関のドアを、あたしは勢い良く開けた。


「お母さん! お母さん!」

「……ナニ? 帰ってきた早々」


お母さんは呑気に味噌汁の味見をしていた。あたしは味見に使っていた小さな器を奪い取ると、すぐさま残りを飲み干す。

――今日も濃いな、とただ一言。


「え? そうかしら……」

「それよりお母さん!」



あたしはカバンの中から、託された封筒を取り出す。そして、お母さんに渡した。


「ナニ、これ……。見たことある字ね……」

「お母さんの知り合いって人から、預かってきたの」


お母さんの知り合い。
高校時代の同級生。

あの“彼”。

お母さんは、封筒の後ろを見るなり、目を丸くした。どうやら、驚きを隠せないらしい。


「……どうして……? なんでアイツからの……」


――これ、いつもらったの!?と、お母さんは聞いてくる。