すべて話せば、翔は私を嫌いになる…


そう思ってしまう自分がいた…


どうせばれてしまうのに…


「美鈴?」


翔に呼ばれて、私は我にかえった。


「大丈夫か?何か浮かない顔してるけど…」


ばれてるんだ…


私が不安なこと、ばれてるんだ…


「何でもないよ!ちょっと考え事してて…」


「どっかで聞いたような台詞だな…」


そういえばさっき翔も考え事してたんだっけ…


いったい何考えてたんだろう…


「美鈴、もうすぐ下校時刻だからそろそろ帰るか。どうせ明日は終業式だし、早く終わるだろ? どっか行こうぜ!」


「うん! じゃあ明日はお祖父ちゃんの誕生日プレゼント買うのに付き合ってくれる?」


「おう!まかせとけ!」


翔は優しい。


人の気遣いがちゃんとできて、おまけに面倒見もいい…


これならお祖父ちゃんも反対しないよね…?


神様…


お願いします。


これ以上、私の好きな人を奪わないで下さい…


どうか翔が


お祖父ちゃんに気に入られますように…


私は、そう祈ることしかできなかった。


まさかこのあと、とんでもない事態が巻き起こるなんて…


私はまだ、知らなかった………