柏木 瑠華


年齢24歳。


私より十歳以上も年下であるにも関わらず、私には一生手に入らない高級な部屋を購入した謎の女。


ちなみに独身。


契約者は柏木様ご本人になっていた。


誰かに買ってもらった、と言うわけではなさそうだが。


いやいや。金だけ何らかの形で受け取り、契約は自分でと言うパターンかもしれない。


何故私がそんなことを知っているかって?


それは、ひ・み・つ、です。


まぁ私はここに勤務して約十年。十年も働くとそれなりに安定した地位を得ることができるものだ。


“カウンターリーダー”


と言う席が、どこが安定した地位だ!“カウンター”はいらねえ!と思わず突っ込みたくもなるが、


ここでのカウンターリーダーはかなりの地位であることは確か。


コンシェルジュたちのまとめ役であるのだ。


思えば“リーダー”と言う責任ある地位についたのは、高校のときに“総長”以……


ゴホン


そのときのお話しはお聞かせしてはいけませんね。


と、まぁ私の勤務事情はさておき、その立場であるとお客様のことを知る必要があるので契約書などの書類を確認しなければならないのだ。


ひ・み・つ


なんてもったいぶったが早々に暴露してしまった。


読者の皆様はご内密に。




「おはようございます、柏木様。今日はいつもより遅いですね」




私は経済新聞を手にしながら、腕時計に視線を落とす柏木様に声を掛けた。