楓なんとかは暫く携帯の画面を見つめ、ついに誰かに電話を掛けた。


(取り巻きに謝るのか。頑張って!!楓なんとか!!)


さりげなく失礼な応援をしていた私を尻目に彼女と誰かの電話が繋がったらしい。
楓なんとかが嬉しそうな恥ずかしそうな変な顔をしていた。

「…あっと、結人?今からちょーっと中庭来てくんない?」

(結人…?結人って…)


あたしの頭の中に一人の男子が浮かんだ。
整った顔に綺麗な髪型。そのくせ、身体つきはがっしりしているバスケ部。クラス委員長もやっている。性格良しのいつでも笑顔の爽やか君だったはずだ。


ちなみに美咲が教えてくれた情報を引用した。


「…ありがとう!!
んじゃあ待ってますわー」


楓なんとかの電話が切れたらしい。
どうしようか…
出るなら今しかないけど、何か気まずいなぁ…


にしても楓なんとか!!気づけよ!!結構見える位置にいるぞ?多分。


(…まぁ、いーかな?少しだけ、少しだけだから!!)


必死に自分に言い聞かせてると虚しくなってくるな、なんて考えてたら…


「里美ー?
なしたのー?」


(来ちゃった…もうここでやり過ごさないと…!!)


まぁ完璧に私が悪いんだけどね。


てか楓なんとかって里美っていうんだね。初情報。