遠くても

連れて行かれた場所はあの広い踊り場。

「痛いっ!離してよ!」


あまりにも強く腕を掴まれていたので耐え切れなくなって乱暴に振り切る。


「あのさ~」

彼はあきれたような顔をしている。


「何であの日から俺のこと避けてるわけ?」
「えっ」

私は図星のことで何も言い返せなかった。


「俺、お前になんかしたか?」
「いや・・・、違う・・・。」
「お前に嫌なことしたか?」
「されてないよ・・・。」


私がそういうと彼は今までこわばってた顔を一気に緩めた。
そして、その場に座り込んで、こう呟いたんだ。


「よかったぁ~!}

・・・え?
何がよかったの?

「な、なにが?」
「え、いや、俺さ、お前に嫌われちゃったんじゃないかって心配だったんだよ。」