あの日から、数日が経った。
私は無意識に峰くんを避けて行動している。
だから、あの日から峰くんには一度も会っていない。
でも毎日毎日、頭に浮かんでくるのはあの笑顔だった。
いたずらっ子のような、あの笑顔が脳裏に焼き付いて離れなかった。
「さ、坂口さん。」
ある日の昼休み。
クラスの女の子が私の席まできて私の名前を呼んだ。
「なに?」
私は普通に返事をしたつもりだったけど、女の子は私が怒ってると思ったらしく、ひどく怯えている。
「あのさ、峰くんが坂口さんに話があるって来てるんだけど。」
私は一瞬、耳を疑った。
峰くんが私に会いに教室まで?
そして、教室の入り口に目をうつす。
するとそこには本当にあの”峰くん”
少し怖い目付きで私をじっと見つめている。
その目をみると、吸い込まれるように私は峰くんの元へ行った。
「用ってなに?」
「なに?じゃねえよ。来い。」
そう言うと峰くんは私の腕を強引につかんでずかずかと歩いていく。
