遠くても


「どこ行くー?」

「ど、どこでもいいです!!」

「んなこと言ったらホテル連れてくぞ?」


そんなことを言うものだから、自分でも顔が赤くなっていくのが分かった。


「ははっ!何かんがえてんだよっ」

「からかわないでよ!!」


恥ずかしくて、恥ずかしくて。
もう、バカみたい。私、おかしくなっちゃったみたい。

みんながかっこいいって言ってた人が今自分の目の前にいるという状況があまりにも不可解すぎておかしくなっちゃった。


だって、いつもの私だったらありえないもん。

こんな奴に、ドキドキするなんて。
かっこいいと思ってしまうなんて。

本当にどうかしてる。


「私、教室に戻ります!」

私はまた走った。今度はちゃんと教室に向かって走った。
あぁ、今日はよく走る日だな。