遠くても


峰くんから、発せられた言葉に驚いて自分の携帯電話を見る。


そこに表示されているのは残酷にも今の時刻。

11:28

11時半といえば、3時間目がもうすぐ終わる時間だ。



「はぁ。」

「もしかしてお前、朝から寝てたの?」


そう言われ、何だか恥ずかしくなってその質問には答えなかった。


「図星かよ!お前、面白いのな!」

峰くんは、ケラケラと笑っている。

「バカにしないで。」

「いや、お前バカだろ!どうせなら、もう今日は俺と一緒にサボらねえ?」


峰くんが飛びっきりの笑顔でそう言った。
その笑顔が、眩しくて。
悔しいけど私には眩しすぎて、首を横に振ることが出来なかった。


「お、メガネっ子もたまにはサボるんだな!」

「さ、サボったこと…ないよ…?」

「初めてか~!やったね!お前の初めていただきっ!」

「変な言い方するのやめて。」


不思議だった。
昔から人見知りがひどくて、自分から話しかけることが出来なかったし、話しかけられてもうまく話すことができない子だったのに。

今は普通に話せている。