遠くても


「・・・・!!!」

合ってしまったんだ。
私が横目で見たその一瞬で”峰くん”と目が合ってしまった。

その眼は確かに私を見ていた。


体中に電気が走ったみたいに、ビリってしびれた。

気づくと私は走っていた。
峰くんに背中を向けて真っすぐ走っていた。


峰くんがいつまで私を見ていたか分からないけど、ただ気分でこっちを見ただけかもしれないけど、私は走った。

今はただ峰くんの視界からはずれたかった。


はぁ、はぁ、はぁ。

ずいぶんと走った。
普段あまり走らない私の体には限界というところまで走った。

自分でも、どこまできたか分からない。


ただ、周りを見渡す限り、非常階段・・・?
の、踊り場・・・?

街全体を一望できちゃいそうな少し広い踊り場だった。