遠くても

私はその言葉の意味が分からなくて呆然とする。

「でも、嫌われてたんじゃなくてよかった!さっき、思いっきり腕掴んでごめんな?大丈夫か?」

本当に何を考えてるのか分からない。
さっきまであんなに怖い顔してたのに、今はすごく優しい顔。


「大丈夫。だよ。」
「本当ごめんなあ。昼休み終わるからいっこか。」

彼は、私をおかしくさせる。
彼の前にいると、私が私でいられなくなる。

このときもそうだったんだ。


「まだ、戻りたくない・・・。」


何であんなこと言っちゃったんだろう?
数日前までは全く興味なかったのに、まだ一緒にいたいと思うなんて。

まだ離れたくないと思うなんて。


「え?」
「ごめん!何でもないです!」

私は何だかとても恥ずかしくなった。


「いいよ。」

彼はまたあの優しい笑顔を私に向けた。

「もうちょっとここにいよっか。」