「………望美?」


あたしは動けなかった。


そこにはあるはずのない名前があったから。


黒板には吉川輝星と書かれていた。


「なんて読むんだろ…」


     ゛よしかわ ひかる゛


「えっ、これでひかる?すごーい!読める望美もすごいけど」


あたしは舞に返事すら出来なかった。


今、目の前に起こってることが、


嘘だと思いたかった。


これは嘘だ。


心のなかで強く願った…。