「あのさ、シャーペン貸してくれない?」


あたしは、突然で返事も出来なかった。


「…聞いてる?」

「あっ、ごめん…っ。えと…シャーペン」


筆箱からシャーペンを取ろうとしたけど、


手が震えていた。


その事に気付いたのか、


「…大丈夫?」

「うん…。大丈夫……。はい、シャーペン」

「サンキュー」


吉川くんは前を向いた。


なにこんな事で震えてんの…。


あたしは何に期待してるの?


無理なの…。現実を見なきゃだめなの…。


お願いだから…あたしの心を乱さないで…。