「…ってわけでさ、なんか空気サイアク。
わたしは相変わらず、躍らせてもらえないし」
夜ごはんは夏野菜カレー。
最近よく、龍之介に愚痴ってしまう。
龍之介は嫌な顔ひとつせず聞いてくれている。
「そりゃあ、優舞。そんな雑念だらけで踊れるわけなかろう」
ザツネン?
「頭の中で違うこと考えてる。体はついていかない」
「考えてないよ」
「そのサチとかいうやつのこととか?」
雑念…か。
「今度、そなたの踊りみにいってやろう」
は!?
「いいよ!こなくて!」
「拙者、これでも母は舞踊の師匠であったぞ」
あんたのお母さんがでしょ。
久々に「拙者」なんて聞いたわよ。
「それから」
