遼がわたしを襲う手をとめた。 目の前には、スラリと銀色にひかる長いもの… 刀だ。 こんなものをもつ、わたしが知る人は 龍之介しかいない。 「…何用か」 龍之介じゃないような声だ。 武士の威厳を感じさせる深みのある声音。 「…たっ…」 龍之介と言おうとする前に、涙があふれた。 遼は突然の刀とわけのわからぬ 浴衣男にポカンとしている。