さすがに龍之介のことはまだ言えやしない。
いくら愛美でも、信じてもらえないだろうし。
なんだか秘密にしておきたかった。
「…もう遼とは無理よ」
わたしは重い口を開いた。
「…遼は、わたしに優しすぎるくらい優しい、まあかっこいいし、
モテるし、わたしには勿体ないくらいだし?
でもわたしたち、小さいころからの付き合いなのに、ちゃんと喧嘩した
ことないんだ。わたしが怒ったと思ったら遼はすぐ謝って、機嫌をとろうと
なにか物をくれたりする」
愛美は小さくうなずいている。
愛美、遼、わたしはみんな同じ幼稚園出身。
お互い顔見知りだし、仲もそこそこいい。
「…そういうのもうウンザリ。わたし、すごく遼にすごくわがままみたいじゃない。
あ、わがままなのかな?…でも、遼と対等でありたいの。
なんだかわたしが遼をかしずかせているみたいで嫌」
わたしは一騎にしゃべって、カラカラの喉を
アイスティーで潤す。
「…それ、遼にいったことある?」
