愛美はいたずらっぽく笑った。
カウンターの席で海外セレブみたいな恰好で
スタイルよく座る愛美は本当にかっこいい。
「…わたし、わかるわよ?優舞、あんた遼のこと好きじゃないでしょう?
むしろキライ?しかも、いま遼じゃない誰かがすきでしょ?」
げっという顔をついしてしまった。
図星すぎて何も言えない。
愛美はわたし自身も知らないようなわたしを見抜く。
「そんなこと…」
「あるわよね~え!吉さん」
店の音楽をシャンソンからおしゃれなジャズにした
吉さんは愛美の言葉にわざとらしくうなずいてみせる。
やっぱり長年付き合っている人にはお見通しなのか。
それともわたしがわかりやすすぎ?バカ?
「…何かあったんでしょ?」
愛美は我が子を心配するような目で
やさしく言った。
さっきのふざけた感じはどこへやら。
