口移しって…キスだよね…
やっばり…恥ずかしい。しかもこんな…いきなり…
遼のキスとは違う優しいけど熱いキス。
一瞬、時がとまったみたいだった。
まだドキドキしてる…落ち着け…落ち着け…。
話題を変えなきゃ。
「あの…龍之介はどうして江戸からきたの? 」
龍之介はシャケも白飯もきれいにたいらげた。
「わたしもよくわからぬ…。ある日、近くの茶屋に届けものを届けようと
して…そこから覚えておらぬ。気付いたらあそこにいた」
「…やっばり記憶がないの。あなたがいた江戸時代ってどんな世の中
だったの?」
「世間は倒幕派と攘夷派で真っ二つだ」
ああ…幕末のころなのね。
「ここは…未来なのか?」
「…あなたがいた時代から150年くらい未来よ」
「150年…か。…150年後はこんなに世の中は安心した世になっているのか」
それから龍之介は黙ってしまった。
幕末だったら大変な時代よね…
龍之介がすごく遠い人に感じた。
