店をでたところで龍之介に捕まった。
つぎは腕ごとひっぱられる。
「ちょっと…!」
「…わたしは住まわしてもらうのなら、誰でもいいわけではない。
わたしがそなたのもとで住もうと決めたのは、そなたが私に似ている気がした
からだ。…そなたの目は助けを求めているようだった。
…わたしはそなたを救えないだろうか」
「…っ。離してください。あなたにわたしのなにがわかるの」
「わたしもそなたをもっと知りたい」
といって人懐こい笑みをみせた。
こんなに美しい顔立ちの人だが、飾らない人柄なのだ。
なんだかんだ口論がつづいたが、龍之介のやんわりとでも
強い言葉に負けて、龍之介はわたしの部屋で隠れて住むことになった。
