「この、あいすきゃんでーとやらの代償をそなたにしてもらう」
「だから…これを…」
「そんなものいらぬ。わたしがいま、ほしいのは雨露しのぐ住処と食事。
わたしをそなたの家に住まわせてくれ」
耳を疑った。
アイスキャンデー一本の代償がこんな…
まだ出会って一時間くらいのこの人を住まわす⁉
冗談じゃないわ。
「無理にきまってるわ。わたしはあなたの何を知ってるの?
そんな知らない、しかもわけのわからない人…居候なんかさせられるわけ
がないわ」
龍之介はキョトンとして笑った。
「なんだ。わたしのことを知らないのがいやなのか。
ならば、これから教えてやろう。
そなた、その迫、なかなか気に入った」
「…し、知りたくなんかないわよ!とりあえず、だめ!絶対!
二度とわたしにちかづかないでね」
わたしは逃げるように店をでた。
おばちゃんは奥の部屋にいるのだろう。
気づいていない。
