吉さんは古めかしいレコードなんかを
いじりながら、わたしの話に耳を傾けていた。
「…なにを悩んでるの?」
「高一でやりたいことも、全くきまってない…わたし…」
「はっきりした夢がないってこと?」
「うん…昔はバレリーナになりたかった。
でも、十六でこの実力じゃ、見切りつけなきゃなんないかも…」
愛美はわたしの話を聞きながら
めずらしく飲んでいた、ミックスジュースを
ストローでカラカラまわした。
「この歳で全部未来決めてるヤツなんて
そんなにいないよ」
「…だって、進路希望調査がさ……」
「そうね、だけど、いろいろ経験してるうちに
自分の夢とか、自然に出てくるわよ」
「…うん」
「だから、バレエも好きならやめずに続けた方
がいいよ。何かみえてくるはずよ?」
「でも、あたしは海外の人みたく
脚もながくないし…
わたしはどうしたらいいのかな?」
