「あのぉ・・・」
「ん?」
「なんで、ここに来てくつろいでるんです?」
下野くんは、私の隣の席に座って、私と向かい合う形でこっちを見ていた。
「入り口に立っとくのもどうかと思って。」
「なぜ、隣に?しかも向き合う形で?」
「神崎ってさ」
「はい。」
「可愛いよな。」
え!?
今、なんて?!
「ちょ、ちょっと、何言ってる?」
「日本語。」
「そうだけど!」
「思ったこと言っただけなんだけど。」
「・・・・・・」
返事にとても困る会話。
急に可愛いとか言われても、何て言ったらいいのよ。
「神野先輩よか、俺にすればいいのに。」
私の頭の中で今の下野くんの言葉がリピートされていく。
こんなところで、英語みたいな表現。
ってか、仁より俺ってどういうこと!?
「待って、私と仁はそんな関係じゃないよ?」
「それ、まじな話?」
「うん、昨日言おうと思ったら下野くん帰っちゃうんだもん。」
「ふ~ん。」
「ふ~んって、仁はほんとにただの友達。」
「じゃぁさ、なんで、先輩なのに呼び捨てなわけ?」
それは、仁が初めて会ったときにそう呼べって言うから。
でも、こんなこと言ったら「初めてでそんなこと言うか?」って言われちゃうかな。
でも、本当のことだし・・・。
「下野君は」
「裕樹」


