私の頬はたくさんの涙が流れていた。
仁が私の顔をじっと見つめる。
「仁は、弱くなんか、ないっ。そんなこと、ないっ!」
そして、仁が私をそっと抱きしめてくれた。
バスの席と席の間は狭くて、二人だけの空間だった。
「仁っ・・・」
「・・・好きか?俺のこと・・・」
「っ大好きです」
仁の背中に手を回す。
お互い座っているせいでちゃんとは抱きしめられないけど、それでも精いっぱい仁に抱きついて、抱きしめられた。
「俺も、大好き・・・。」
仁の口からそんな言葉が出ると思わなかった。
その言葉が私の涙腺を余計に緩ませたんだからね。
そして、仁が私を抱きしめたまま耳元で話し始めた。
「俺、女とか好きになったのお前が初めてだ。初めて会ったあの日から、何かわかんねぇけど、真里亜のことは他の女とは違うような気がしたんだ。」
「違う?」
「なんか、すげー楽しかったんだよ。で、幸せってこういうことかもしれねぇなって。家族の温かさとかも教えてくれた真里亜は俺の特別だった。」
「・・・うん。」
「実家に戻ったとき、俺が想像してたことと全然違って、二人とも俺をちゃんと受け入れてくれた。真里亜のおかげで、家族が戻った。」
「よかったね。仁、頑張ったんだ。」
「真里亜のおかげ。ありがとな。」
仁がそっと私の頭を撫でてくれた。
その仁の手の温もりは今まで以上に温かかった。
「俺の彼女に、なって?」
「どぉしよっかな。」
「え。」
つい意地悪したくなっちゃった私。
仁がそっと私の体を離す。


