ただ、ピッチがうまくてかっこよかったってことだけ拾ってほしかった。
「ま、まぁマウンドに立つのって一人だし、見やすいよな。」
「う、うん。」
「「・・・・・・」」
また二人の間に沈黙が流れる。
「はぁ・・・」という仁の溜息が聞こえた。
そっと仁の方を向いてみると、下を向いて帽子を深く被っていた。
「どうかした?もしかして、体調悪いとか?」
「違うんだよ・・・」
「え?じゃぁ、なに?」
「そうじゃねぇって・・・。」
「なに?」
「好きなんだよ、お前のこと―――」
バスの中はとても静かだった。
みんな疲れきって寝てしまったらしい。
でも、そんな中私の耳に届いた言葉は私が聞きたかった言葉。
「・・・え?」
「言いたくても、言える時ってなかなかねぇじゃん・・・。だからさっきから言おうとしてんのに、タイミングつかめねぇし・・・。」
「じ、ん・・・」
「本当はこの試合に勝って、隆也と一緒にお互い好きな気持ち伝えようって言ったのに。俺は隆也とは違って、弱かった。」
「・・・・・・」
「あいつはなんだってすごいよ。隆也にはかなわない。弱い男だよ・・・」
「っこと、・・・ない、よ」
「え・・・」
仁がその顔をあげて私の方を向く。
「真里亜・・・」


