「心配するようなことじゃないって。ただ、話してきただけなんだから。」
「話って、何を?」
「だから、僕には家族がいるってことをだよ。」
「「「・・・・・・」」」
私たち3人は固まった。
だから、その話をした後にママに言ったんじゃないの?
『もう一度やり直そう』って・・・。
じゃないと、あんなにママが嬉しそうな顔をしていた理由がわからないよ?
あの時、病室に戻った時、ママはパパと笑ってた。
だから、私はそういうことだと思ってたのに。
「なんだ、もしかして真菜のところへ戻るんじゃないかとでも思ったのか?」
パパはわかってたんだ。
この話をするとみんなが勘違いすることを。
だから、一人楽しそうに話をしていたんだ。
ずるいな、パパ。
「真菜さんは、なんて?」
「僕と真里亜が幸せなら、私も幸せだって言ってくれたよ。」
ママがそんなことを言ってくれていたなんて、知らなかった。
ママとパパが笑っていたのは、この話のあとだった?
でも、きっとママの心は寂しがってたんじゃないかな。
「パパ、ママはこれからどうするって言ってた?」
「あぁ、真菜は退院したら婚活しなきゃって言ってたぞ。ははっ」
ははっ、ってパパ。
そんな顔して言わないでよ。
パパだって、本当は後悔してるんでしょ?
本当は、駆け落ちまでして手にしたかった幸せがあったのに手放してしまったんだから。
パパは今でもママのことを愛してるんでしょ?
「婚活か。・・・真菜だったらきっとパパよりかっこいい人を見つけるんだろうな。」
「パパ・・・」
「仕方ないさ。パパが、弱かったから。・・・最低だな。」


