病室へ入ると、パパとママが私たちの方を向いた。
「あ、もう話終わった?」
「あぁ。終わったよ。」
パパが私に向かって優しく言ってくれた。
ママも何だか嬉しそうな表情。
「何話してたの?」
「内緒だよ。」
「なんでぇ。いいでしょっ、ママ。」
「内緒ね。」
二人して意地悪するんだから。
でも、そうだよね。
パパとママの秘密ってわかってたけど、一応聞いてみただけ。
もしかしたら言ってくれるかもしれないと思ったけど、残念ながらそれはなさそう。
「真里亜、そろそろ帰ろうか。」
「もういいの?」
「話は終わったって言っただろ。今日はこの辺で帰ろう。」
「うん。わかった。」
「真里亜、圭太さん。」
ママが私とパパの名前を呼ぶ。
ママの方を向くと、少し目に涙を溜めて微笑んでくれた。
「どうしたの、ママ。」
「抱きしめても、いいかしら?」
その言葉が聞こえたとき、私は一瞬だけ驚いたけどすぐにママに胸の中に飛び込んだ。
それからパパが私とママを包み込んでくれた。
やっぱりパパはおっきい。
私もママも包み込んじゃうんだもん。
「パパ、ママ」
「「なに?」」
「温かいね」
私の口から出たその言葉は、私たち3人の心をさらに温かくしてくれた。


