だからてっきり、諦めたんだと思ってた。

でも、どうやら違うらしい。


「俺ら付き合ってねぇじゃん。」

「でも!」



そのあとにカナの口から出てきた言葉を、私はこれから一生忘れることはないだろう。




「でも!セフレじゃん!」



は?なに、それ。


意味が分からない。


「最近ヤってねぇし。もう終わりだろ。」

「そんなこと勝手に決めないでっ!私は」


「うざい。帰る。」

「一斗!」



そのまま一斗は廊下を歩いて行った。

向かったのは、きっと靴箱。


そのまま本当に帰って行ったんだと思う。



カナは、その場に泣き崩れていた。


私は、教室から出ることができなかった・・・。



一歩、踏み出すこともできず、壁にもたれかかったまま力無くしゃがみこんだ。


さっきの会話の内容が私の頭の中を埋め尽くしていく。


一斗とカナが、セフレ?


嘘だよ、そんなこと。



きっと、カナが適当に言ったこと。



でも、そう思ってもどうしてこんなにも涙が溢れてくるのだろうか。




しばらく経って、カナが帰っていく足音が聞こえて、私も家に戻ろうと立ち上がった。


職員室で鍵を返して、家へ走って帰った。