「真里亜・・・」
「ねぇ、パパっ?」
「なんだ?」
「どうしてママと離婚したのよぉっ」
今まで決して聞かなかったこと。
それは、私が弱かったから。
怖くて、聞けなかった。
もしかしたらパパの口から「ママのことが嫌い」っていう言葉がでてきたらと思うと、聞けなかった。
でも、今はどうしても聞きたいの。
どうして、ママを一人にしたの?
「それは、ママが選んだんだ。」
「ママが?」
「そう。ママは、真菜はな・・・っ真菜!」
パパが叫んだのと同時に、私の手をそっと握ってくれた。
それは、ママの手。
「ママ?・・・ママっ!」
「・・・っれ?」
久しぶりに聞いたママの声は私の記憶の中のママの声と同じだった。
「ママ、っままぁ」
「どう、して?・・・あ、なた。」
「真菜。大丈夫か?」
「な、に?」
「少しいいですか。」
ママの目が少しずつ開いて、私たちを見た。
先生が、ママの様子を見てカルテを書いていた。
その間、私とパパは何も言えなかった。
ママが、ママがまだ生きてるのに、なんだか変だったの。


