この日の放課後はとても憂鬱だった。
仁のことを見ると胸が苦しくなるし、裕樹にどんな顔で話せばいいの変わらないし。
裕樹の顔を見たらまた泣いちゃいそうだし。
こんな全然仕事にも身が入っていない私に気が付いてくれた人がいた。
それは同じマネジの、佐藤先輩。
「マリアンヌ?」
「あ、はい。」
「どうかしたの?ずっと暗ぁい顔だけど。あと、そのおにぎりメチャクチャおっきい!」
手元を見ると、いつからこのおにぎり握ってましたかっていうぐらい大きなおにぎりがあった。
ボーッとしてた証拠。
「すみません、これは私が責任もって食べます!」
「マリアンヌ、何を我慢してるの?」
「え?」
「マリアンヌの顔が悲しいよって、辛いよ、苦しいよって言ってるみたい。」
佐藤先輩は超能力者ですか?
っていうぐらいズバズバ私の心を見抜いていく。
「茜里!ちゃんと仕事しなさい!」
「やおい~。だって、マリアンヌが~!」
「いいから!」
岡本先輩は私の顔を見て少しだけ微笑んだ。
それから口パクで「右みて」と言われた。
右、を見てみるとそこには仁がいた。
息が上がっていて、とても暑そう。
お茶でも出そうかと思って、用意をしようとしたとき腕をグッと掴まれた。
「え、なに!?」
「ちょっとこいよ!」
そんな俺様な!
って言わせる隙もないくらい早く私の腕を引っ張りながら歩いていく仁。
部室から少し離れたところでやっと腕を離してもらえた。
「なんなの?」
「お前、あいつに何聞いた!?」


