一斗は騙されたの?
カナに?
なら、私も被害者に含まれるの?
「真里亜?あとな、一斗は」
「・・・して・・・」
「え?」
「どうしてっ、私はこんなに不幸なのっ」
この世は残酷すぎる。
酷過ぎる。
私は何も悪くないのに、どうして私ばかりがこんなにも苦しめられなくちゃいけないの。
私はただ、幸せになりたいのに。
どうして、どうしてっ。
「真里亜・・・。」
「なんでよっ、私は悪くないじゃない!何も悪い事なんてしてないのにっ、私ばっかり不幸なのはおかしいよっ!」
「おはよ~」
そこに入ってきたのは私のクラスメイト。
さすがにこの状況はまずい。
「えっ、どうしたの真里亜ちゃん!」
これじゃ、裕樹が私を泣かせたような状況に見られちゃう。
「もしかして」
「違うの!私が、私が朝すっごい感動的な映画を見てきたから余韻に浸ってたら涙が出てきちゃったの。それを下野くんが慰めてくれてたの。」
「なんだ、真里亜ちゃんって感動屋なんだ。」
「そうなのっ。えへへっ。下野くんも付き合わせてごめんね。」
「いや、構わないけど。まぁ、あんまり余韻にばっか浸ってんなよ。じゃぁまた部活で。」
「うんっ、また。」
それからすぐに裕樹は教室から出て行った。
その後もしばらくは涙が止まらなかったというのは、私だけの秘密。


