でもでもでも!
あんなに好きだったんだよ?
一斗のことが大好きだったのに、こんなにもあっさり諦めることってできるものなの?
「そういえば、一斗ってやつは見なかったな。カナは今日来てることは知ってたけどさ。」
「二人とももうすぐ学校やめちゃうんじゃなかったかな。」
「そりゃそうだろうな。まぁ、でもかわいそうだよな。」
「え?なんでかわいそうなの?」
「だって、ってか知らないのか!?」
え?何が?何を?
全然話がつかめないんですけど。
こんなことばかりだな。
「じゃぁ、明日話してやるよ。今日はそろそろ帰らねぇとヤバい。」
時計を見ると9時はとっくにまわっていた。
こんな時間までここに二人でいたんだと思うと少し顔が熱くなった。
「今更顔赤くしてんじゃねぇよ。じゃぁ、帰る。」
「う、うん。明日の朝行ってもいい?部活。」
「来てもいいけど俺の仕事終わるまで時間あるだろ。」
「適当につぶしとくよ。だから裕樹の仕事が終わったら教室に来てよ。私そこにいると思うから。」
「了解。」
裕樹を玄関まで見送りお互いに「ばいばい」と言って別れた。
その後、真咲とお母さんに質問攻めにあった。
だから!そういう関係じゃないんだって!
と、この日私は何度叫んだのだろうか。
次の日の朝、私は教室で裕樹が来るのを待っていた。
「真里亜!」
「あ、裕樹。おはようっ。」
「はよっ。」
汗を拭きながら教室へと入ってきた裕樹。
あの~。
かっこいいではありませんか。


