「そうしてこっちを振り向きながらいったのさ・・・ママ今度はおとさないでね・・・って」


「ぎゃあああああー!」
その迫力に圧倒されつい階段から転がりおちそうになる。
そんなありきたりな話ですらも怖がる豆腐メンタルの俺、関光一。
この「階段クラブ」の部長であり、一番のビビリ。

「もう!こんなの有名な話じゃん!怪談の定番でしょ!?」
「怪談クラブ」の紅一点、近江めいこが今にも転落しそうな俺の手を握りながら言う。
成績優秀、校内一美人ととんでもないスペックをお持ちの方である。
が、外見とはうらはらにがさつで乱暴・・・天は二物を与えずとはまさに
こいつの為にある言葉だと思う。

「今なんか言った!?」
・・・あぶねぇまた心の声が出てた・・・

「ははは、まぁまぁそのへんに。ってお前も本当ビビリだよなー
なんでお前みたいなやつが「階段クラブ」をつくろうっていったのか
理解できねーぜ」
今のこの危うい状況を笑いながら傍観している男は
玉屋萌。
常にマイペース。女みたいな名前だがその名前とは
裏腹にがっしりとした体でラグビー部の部長。
こいつが「萌部長!」なんて呼ばれてると思うとついついにやけてしまう。

『階段クラブ』は俺関光一、近江めいこ、玉屋萌の三人である。