クローン（CLONE）

「何かあったのか？悩み？相談ならいつでも来い。」

皆が不審な者を見るかのようにじろじろ見つめている。
そうだ、こいつらしゃべることが出来ないのか。と今更気づいた。
生徒も先生が何かまだ理解をしていないかもしれない。
まだ、能力以外は一年生以下ということになる。

普通、一年生は何を習うだろうか？けんかはだめですよ。とか、人に危害を加えてはいけないなど、生活するに必要なことを習う。
でも、ＴＣＮはしゃべることが出来ない。でも、覚えるまで、毎日叩かれたり、厳しい指導だ。ある意味虐待だ。

「なんでこんなもんが一日で覚えれないんだ。」とか、普通に聞こえてくる。

でも、さすが優秀だから、１０日位すれば、覚えている。
だから、俺がここへ来て働いてから、１０日で、挨拶が出来るようになっていた。
本当に不思議だ。
ここまでして覚えさせる意味があるのだろうか？
１１日目、自分の中では、事件が起きた。
クラスの一人が、理科の授業が終わった、次の時間にいきなり奥の席に座っている、あれは多分、Ａ４だ。ゆっくりと近づいてくる。

「先生なんで、僕こんなところにいるの？ここはどこ？先生には名前があるのに僕には名前がないの、先生、先生なんで？」

次々に質問をしてくる。

「落ち着きなさい。」

グサ。

胸の辺りから血が出ている。
先生を解剖ナイフで刺したのだ。
これもかえるを解剖したときに学んだのか、心臓に刺そうとしていたが、小さいものを切るときの解剖ナイフなので、安心した、でも、血は出る。