クローン（CLONE）

コンビニを曲がるとそこには大きなBiwa-ko(琵琶湖)が見えた。
穏やかな波。穏やかな風。すべてが心地よく感じた。
まだ、５月気温は朝方なので風は冷たかった。そんなことも気にせず。車から降りた。裕也とあやかは湖に飛び込んでいった。
体操服のまま、何も気にせず、でもラッキーだった。
こんな事になる前が体育の時間ではなければ着替えがなくなっていただろう。

「気持ちーぞ、祐樹も来いよ。」裕也が震えながら、言っている。
見る限り楽しそうと言うより寒そうだった。
気分転換には良いかも知れないと思った俺は湖へ飛び込んだ。

「ツメテ～。よく入れたな。」と皆が仲良く、湖に入っていると、小島さんが車から出てくる。

「助けて～たすけて～」とだんだん小さくなるが声がする。
俺は裕也と違うほうに振り向いた。
すると、あゆからしき人が溺れている。
「あゆか、どこに言ったんだ。」本当に一瞬、目をそらしたすきにあゆかが溺れているなんて検討もつかなかった。

「助けてーたすけて～」とあゆかが必死にもがいている。
上から見ていた小島さんが飛び込もうとしたとき、祐樹の目に何かが映った。

「小島さんしゃがんで後ろ。」何かが上から跳んできた。
あれは多分、ＴＣＮだ。
何故飛び込んできたのか分からなかったが、俺らはただ見ているだけしかできなかった。何故ＴＣＮが人を助けたのか？何故助けてくれたのか不思議だったがＴＣＮは一人だった。この時、祐樹の脳裏にある映像が流れた。「コピー人間（ＴＣＮ）は一人一人性格が違う。」あの時大統領が言っていた、この言葉。多分、優しいＴＣＮなんだ。と確信した。

「名前は？」裕也の問いかけに答えてくれた。

「Ａ３です。」

「どうして、あなたは一人なんですか？」