「わあ!涼二、あれまぐろかなあ?」

「ばかだな、真優。まぐろが水族館にいるわけないだろ」

バカにする涼二をにらみつけて
あたしは大きな水槽にかかる表札を指差した。

『まぐろ』

「ね?」
涼二は苦笑した。

「寿司屋から運んできたのか?」

「そんな夢のないことゆわないで!」

「じゃあニモたちと同じ水槽にまぐろがいるのは、夢のあることなのかな。確かにまぐろは夢みたいだろーな。ああおいしそうなご飯がいっぱい」

「やめてよ!」
あたしは今にもニモに襲いかかりそうなまぐろから離れようと涼二の手をひいた。