「えと…観月真優です。」

あたしはボソボソっていうと、目をそらした。

お願いだからこれ以上あたしに話しかけないで。

そう念じたのに、
涼二はあたしにずっと話しかけてきた。

「真優はさ、何の食べ物が好き?」

それは、小学生が好きな子に訪ねるようなレベルの質問。

あたしはあっけにとられながらもいつのまにか、彼との幼稚な質問大会にはまりこんでいた。

「涼二は何色が好き?」

「オレンジ。真優は?」

「黄色」

「今どこに行きたい?」

「。寝たい」

「俺は真優んち。もっと2人で話したい。」

あたしは目を見開いて、目の前で真剣な目をしてあたしをみつめる男を凝視した。

やばいってのは始めからわかってた。

けど、いつのまにか彼との会話に夢中になってて、うまいぐわいに彼の思惑にのせられるとこだった。